細菌性膣炎の基礎知識|女性なら知っておきたい特有の疾患

カンジタ膣炎、トリコモナス膣炎は時々耳にすることがありますが、細菌性膣炎は聞き慣れない方も多いのではないでしょうか?
細菌性膣炎は、女性特有の婦人科疾患の一つです。
今回は、女性にとって身近な疾患、細菌性膣炎についてご紹介させていただきます。
細菌性膣炎ってなに?
感染が原因で起こる膣炎は、カンジタ膣炎、トリコモナス膣炎、細菌性膣炎の3つに分けられています。
細菌性膣炎は、カンジタ菌、トリコモナス原虫、淋菌のような特殊な菌やウイルス以外で起こる膣炎を言い、細菌性膣症、非特異性膣炎とも呼ばれています。
細菌性膣炎の症状は?
- 魚のような生臭いおりもの
- おりものの量の増加
- 茶色っぽいおりもの
- 灰色っぽいおりもの
- 水っぽいおりもの
- 陰部のかゆみ
- 陰部の腫れ
- 性交痛
- 排尿痛
などがあります。これらの症状が現われるのには個人差あり、全ての症状が出る女性もいれば、一つだけ症状が出る女性、自覚症状がほとんどない女性もいます。
いつもとおりものの様子が違うと自分で気が付いたり、パートナーから陰部の臭いを指摘されて気が付くことが多いようです。
症状がカンジタ膣炎、トリコモナス膣炎に似ているため、カンジタ膣炎だと思って受診したら、細菌性膣炎だったとういうこともあるようです。
細菌性膣炎の原因は?
大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌といった、日頃から私たちの身近にある常在菌と呼ばれている菌に感染することで発症します。
通常膣内は、デーデルライン乳酸桿菌によって酸性に保たれ、細菌が繁殖しないように、簡単に菌やウイルスが侵入・感染しないようにする自浄作用が働いています。
しかし何らかの理由によってその自浄作用が低下してしまうと、大腸菌やブドウ球菌などの常在菌が繁殖し、細菌性膣炎を引き起こしてしまいます。
自浄作用が低下してしまう原因には、疲労、病気などによる免疫力の低下、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、過度な性行為、加齢、タンポンやナプキンなどを取り換えないことによる不衛生、過度の膣内洗浄などがあります。
また、子宮内避妊具(IUD)を使用している女性がなりやすいという報告もあるようです。
細菌性膣炎は、体の免疫力が低下すると現われやすいと言われています。
細菌性膣炎の診断方法
顕微鏡検査を行うことがあります。滅菌された綿棒で膣分泌物をとり、顕微鏡で確認して原因となっている菌や原虫を探します。
顕微鏡ではっきりしなかった場合、細胞培養検査を行うことも。その他に、膣分泌物の臭い、PH、染色検査を行うことがあります。
診察時、検査時に内診台に乗って足を開き、膣内に金属の医療器具を入れます。医療器具を入れる時に、軽度の痛みと異物感があります。初めての女性は抵抗があるかもしれませんね。
初めてで不安な場合には、遠慮なく医師や看護師に質問するようにしてください。
細菌性膣炎の治療方法
内服、膣剤、塗り薬による薬物療法と、膣洗浄が行われることがあります。
症状にもよりますが、膣剤治療と膣洗浄を中心に治療することが多いようです。
膣剤治療は、抗菌剤を6日前後膣に挿入します。治療の初期には、膣洗浄も行います。個人では膣の奥まで洗浄できないため、婦人科に通って洗浄しないといけない場合も。
状態によっては、内服治療も行われることがあります。内服治療では、抗菌剤を7日前後服用します。陰部にかゆみや腫れなどの症状がある場合には、陰部用に抗菌剤の塗り薬を処方されることもあります。
膣洗浄や抗菌薬を使用することで、膣内に繁殖している細菌をやっつけて細菌性膣炎を治します。
細菌性膣炎を治療しないとどうなる?
トリコモナス膣炎や淋菌などの性感染症と違い、常在菌が原因となっていることから安心している女性もいるかもしれませんが、細菌性膣炎はきちんと治療をしないといけない病気です。
膣炎だけでなく、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などを合併する可能性もあります。これらの病気を合併することで、不妊の原因となることも。
また、自浄化作用が低下しているせいで、性感染症にも感染しやすい状態となっています。妊娠中に細菌性膣炎になると、早産になる恐れがあるとも言われています。将来後悔しないためにも、早めにきちんと治しておくことが大切です。
パートナーとはどうする?
細菌性膣炎は性感染症ではないので、通常性行為で感染することはないと言われています。けれど膣内が炎症してデリケートになっている状態なので、治療中に性行為をするのはやめておきましょう。
自浄作用が低下しているため、性感染症に感染する危険も高くなります。
細菌性膣炎は再発する?
細菌性膣炎は膣の自浄化作用の低下によっておこるため、何度でもかかる恐れの病気です。細菌性膣炎を再発させないためには、膣の自浄化作用を低下させないことが大切です。
細菌性膣炎についてご紹介させていただきました。細菌性膣炎にならないよう、日頃から体の免疫力を高め、膣の自浄化作用を低下させないように心がけましょう。
もし細菌性膣炎のような症状がある場合には、早めに婦人科を受診するようにしてくださいね。